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顎生理学について

昔から、非常に美味しいことを「顎が落ちる」と言ったり、体力がなくて弱っていることを「顎でハエを追う」、高慢な態度で人を使うことを「顎で人を使う」などと、私たちの生活にも顎は馴染みの深いものとなっています。

そして歯の1本1本は歯槽骨という顎の骨に埋まっていることもあって、“歯と顎”とは切っても切れない深い関係で結ばれています。

例えば成長期に顎の骨の発育が悪くて生えてくる歯が正しい方向で入り切らなかったら、歯は向きを変えてでも生えてきます。

その結果上下の咬み合わせが悪くなって、八重歯や出っ歯、すきっ歯、叢生などという“不正咬合”が起こります。

さらに、容貌が損なわれるだけでなく発音がしにくくなったり、食べ物がうまく噛めなくて内臓にまで影響が及ぶこともあります。

そこでまず、顎によって行なわれる咀嚼全体を研究して実際の歯の治療を行なう “顎生理学”という学問についてみてみることにしましょう。

“顎”は動物や人の口の上下にあって、発音や咀嚼には欠かせないものとなっています。

“咀嚼”では上顎と下顎とを上下や左右に動かして食べ物を細かく砕き、栄養として体内に吸収されやすくするための第一段階の役割を果たしますが、この運動は顎の骨だけで行なわれるのではなく、舌から喉にかけての筋肉や両頬の筋肉が緻密な動きをして、顎の咀嚼運動をサポートしています。

また、顎の咀嚼運動が起こることによって口腔内にある耳下腺や舌下腺、顎下腺という3つの唾液腺が働き始めて唾液が食物に混ざり、より咀嚼しやすい状態になったり、食物が唾液に含まれる消化酵素によって栄養が体内に吸収されやすく分解されるようになります。

“顎”には他にも、“体のバランスをとる”という役割があります。

ここで“顎”を上下左右に向けて実験をしてみると、上下では上を向いたほうが口を開けやすく、右に倒すと右顎に、左側に倒すと左顎により力が入るようになります。

日常生活において、足を組む癖があったりすると骨盤がずれることがあって、脳の平衡を保つために背骨が歪んでしまいますが、そのバランスを“顎”が整えてくれます。

また“顎”は格闘技などでは急所とされ、顎先を攻撃されることによって脳震盪を起こしたりすることもあるようです。

このように顎にはいろいろな機能があって、“顎生理学”の習得は“総合歯科診療”をモットーとする歯科医にとっては必須のものとなっています。

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